前年度に引き続き部分精製BMPに関しては安定した生産を行ない、ストック分に対して約5gを追加精製した。また、人工合成BMPに関してはsf-9細胞を使用してバキュロウイルスにより生産を開始した。しかしながら、前年度と同様各種キャリアーを用いて移植実験を行なったが、新生骨誘導能は、天然抽出のBMPの約10分の1程度であった。人工合成BMPの生産に関しては、蚕などの未成熟個体の使用も開始して、現在BMP2蛋白の活性試験を続行中である。水溶性BMPの生産に関しては安定生産が行なわれており、この精製過程において単離蛋白質が得らりたため、アミノ酸分析を行なった。その結果、オステオネクチンを単離精製したことが判明し、脱灰骨基質中たんぱく質の情報蓄積を行なうことができた。これらのBMP以外の脱灰骨基質中たんぱく質は天然キャリアーとなりうる可能性が高いため、他のたんぱく質に関しても現在精製を進めている。BMPと結合する金属種に関しては、スクリーニングを行なった結果、予備実験と同じく純チタンがもっとも優秀である事が判明したため、この表面を陽極酸化処理を行ない結合実験を行なった。その結果陽極酸化処理群のうちゼラチンキャリアーを用いた実験群がきわめて新生骨誘導能が高いことが判明した。また、表面をサンドブラスト処理をした群も新生骨誘導能がコントロールと比較して上昇していた。今後、さらに表面処理を検討すると共に、高精製のBMPあるいは人工合成BMPの安定供給が臨床応用への鍵となると考えられる。
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