金属材料とBMPを複合化するため、金属の表面へのBMPの吸着を調べると共に実際に金属材料のBMPとを結合してその新生骨誘導能を調べた。これに先立ち、人工合成BMPはsf-9細胞を使用してバキュロウイルスにより生産を行った。しかしながら各種キャリアーを用いて移植実験を行なったが、新生骨誘導能は、天然抽出のBMPの約10分の1程度であった。人工合成BMPの生産に関しては、蚕などの未成熟個体の使用もおこなったが事実上本研究の主たる骨形成因子として使用することはできなかった。しかし水溶性BMPの生産に関しては安定生産が可能となり、この精製過程において単離蛋白質が得られたため、アミノ酸分析を行なった。その結果、オステオネクチンを単離精製したことが判明し、脱灰骨基質中たんぱく質の情報蓄積を行なうことができた。これらのBMP以外の脱灰骨基質中たんぱく質は天然キャリアーとなりうる可能性が高いため、他のたんぱく質に関しても現在精製を進めている。BMPと結合する金属種に関しては、スクリーニングを行った結果、予備実験と同じく純チタンがもっとも優秀である事が判明したため、この表面を陽極酸化処理を行ない結合実験を行った。その結果陽極酸化処理群のうちゼラチンキャリアーを用いた実験群がきわめて新生骨誘導能が高いことが判明した。また、表面をサンドプラス処理をした群も新生骨誘導能がコントロールと比較して上昇していた。今後、さらに表面処理を検討すると共に、高精製のBMPあるいは人工合成BMPの安定供給が臨床応用への鍵となると考えられる。
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