本研究の目的はオゾンの殺菌力と脱臭力を利用して、在宅高齢者の義歯の衛生管理を行い得る可能性を検討することにある。殺菌力についてはデンチャープラークの主たる構成菌であるカンジダアルビカンスに対する効果を、脱臭については官能法(暗箱法)を用いて検討する。 平成9年度はカンジダアルビカンスに対する殺菌力を検討するための実験装置の組立を行った。オゾン発生器に高電圧装置、エア-ポンプを装着し、シリコーンチューブを介して、発泡装置を水槽中に設置した。原料である空気はエア-ポンプによりオゾン発生器中に送り出される。オゾン発生器中で、高電圧放電により、オゾン化された空気は発泡装置より水槽中に供給される。発生したオゾン濃度と電圧との関係をオゾン濃度計を使用して確認した。この実験装置を使用して、カンジダアルビカンスに対する殺菌効力試験を行った。オゾン濃度は3段階に設定し、それぞれの濃度に対する効果について、研究分担者(佐久間重光)とともにデータを収録しているところである。 平成10年度は不快な義歯臭に対するオゾンの脱臭力を検討する予定である。 その結果を踏まえて、殺菌効力試験結果と脱臭結果を総合的に検討し、オゾンが義歯の衛生管理に使用できる可能性について検討を進める所存である。
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