研究概要 |
〈c-fosの検出〉 〔目的〕 歯痛における神経伝達機序をを電気生理学以外の生化学的面からとらえようとするのが本研究の目的である。そこで疼痛刺激に対し発現するとされている癌制御遺伝子の一種であるc-fosの発現を、三叉神経節と脳において,抗原-抗体法(ペルオキシダーゼ法)により、ネズミを用いて検討した。 〔方法と結果〕 予備試験において、1%ハロセン麻酔下で潅流固定を行い、三叉神経と脳を摘出しc-fos発色細胞を検索したところ、無疼痛刺激状態では三叉神経節及び脳のどの切片においてもc-fos発色細胞を認められなかった。そこで,0.5%ハロセン-パンキュロニュウム-人工呼吸下にて犬歯をドリルにて歯髄を露出し、電気刺激(100v,0.3HZ)をあたえた。電気刺激により三叉神経節とTNC(trigeminal nucleus caudalis:TNC)に誘発電位が刺激に対応し記録された。そこで電気刺激された三叉神経節とTNCを還流固定後、切片上でc-fosの発現を抗体染色法にて検索した。その結果発色細胞の発現が認められ、その数は三叉神経節で平均62個、平均TNCで45個であった。 〔結論〕 三叉神経節とTNCの細胞においてに歯痛に対応した遺伝子発現がおきることが証明された。 〔今後の展開〕 歯痛刺激に対応したこのc-fos発現に対する、局所麻酔薬、全身麻酔薬の作用を検討する。
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