研究概要 |
実験動物として雄性Wistar系ラット(12週齢)を用いた.ラット頭蓋冠に規格化された骨欠損を作製し、整粒・乾熱滅菌した燐酸オクタカルシウム(OCP)を埋入し、骨修復を促進するか否かについてX線形態学的および組織学的に検討した.埋入後4,12,24週に試料を作成した. OCP埋入群の頭蓋骨欠損部のX線不透過性は対照群(骨欠損を作製したのみで何も埋入しないもの)に比べ有意に高値を示した.組織学的には骨欠損部辺縁からのみならず欠損部に散在して埋入されたOCP周囲に骨形成が認められ、OCP埋入による頭蓋部骨欠損での修復の促進が認められた.また、連続切片やオステオカルシンを用いた免疫組織化学的検索によりOCP周囲の新生骨の一部はOCPを核として形成される可能性があることが示された. 現在、bone morphogenetic protein(BMP)やtransforming growth factor-β_1(TGF-β_1)等の骨形成を促進させる可能性を有するタンパク質をOCPに吸着させ、同様の骨欠損に埋入した実験を行っているが、これらの結果によっては、骨形成促進の相乗効果が期待できるとともに、それらタンパク質の担体としてOCPが利用できる可能性がある. また本研究の関連として生体内に移植したOCP周囲にみられる多核巨細胞の形態が破骨細胞の形態に類似していることが超微形態的に確認されたため、その成果をJournal of Electron Microscopy 46巻5号に報告した.
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