1) マウスSmad-1のリン酸化 マウス骨髄細胞由来ストローマ細胞ST-2よりクローニングしたmSmad-1遺伝子をBMPに反応性のあるST2細胞に導入し、OP-1/BMP-7、BMP-2、TGF-βを作用させるとmSmad-1がリン酸化されることが分かった。ST2細胞はBMPに反応して骨芽細胞の表現系を発現することから、骨芽細胞の分化においてもSmad-1が情報伝達物質として働いていることが示唆された。しかし、ST2はTGF-βを作用させても骨芽細胞への分化は誘導されないことから、骨芽細胞への分化にはSmad-1による情報伝達以降の経路が重要である。 2) cbfa-1の発現誘導 mSmad以降の情報伝達をつかさどる転写因子として、最近、骨形成において重要な役割を果たしていることが示されたrunt系転写因子であるcbfa-1の発現について検討してみた。その結果、ST-2およびマウス頭蓋骨由来骨芽細胞様細胞MC3T3-El細胞にOP-1を作用させることにより、48時間後にはcbfa-1遺伝子の発現量が2-3倍程度増加することが分かった。このことよりBMPの情報伝達はSmadを介してcbfa-1に伝達され、骨芽細胞の分化を促進している可能性が示唆された。
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