研究概要 |
本年度は、まず従来までほとんど知られていない種々のストレスによるhsp40の発現についてHeLa細胞を用いてhsp70の発現と比較検討する事とした。細胞に種々のストレスを加えmRNAレベル、タンパクレベル、さらにゲルシフトアッセイによるhsp遺伝子の発現を検討した。様々なストレスを細胞に与えた結果、hsp70についてはmRNAレベル、タンパクレベルにおいてほとんどのストレスに対して誘導されており、特にheat shockによる誘導が強く見られた。hep40についてもhsp70と同様にほとんどのストレスに対し誘導され、特にheat shockによる誘導が強く見られたがhsp70に比ベアゼチジンによる誘導は少なかった。またhsp40のプロモーター領域にあるHSE配列をプローブとしてゲルシフトアッセイを行ったところheat Shock、アゼチジン、ヒ素、ピュロマイシンおよびジニトロフェノールの処理によってシフトしたバンドが見られた。このことから、これらのストレスによるhsp40の誘導がHSF1に依存していることが示唆された。しかし他のストレスではまったくシフトしたバンドが観察されなかったのでこれらのストレスによるhsp40の誘導はHSF1以外の他の転写因子によるものと考えられた。さらにマウスの各組織におけるhsp70,hsp40の発現をタンパクレベルで調べたところ、hsp70はいずれの組織においてもほぼ同程度に発現しており、hsp40もいずれの組織でも発現していたが、特に精巣において非常に高く発現されていた。次年度はアンチセンスオリゴマーによるhsp40の抑制における細胞への影響について解析する予定である。
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