1997年度はLactobacillus plantarum細胞壁由来ジサッカリドトリペプチドの抗腫瘍効果を調べるためにP815マウスマストサイトーマ担癌マウスに腫瘍抗原ペプチド(P815)とL.plantarum細胞壁由来ジサッカリドトリペプチドを投与して同マウスの生存率について検討したが、L.Plantarum細胞壁由来ジサッカリドトリペプチドの併用により50%生存期間の延長は認められなかった。そこで種々のアジュバント作用が報告されているMuramyl dipeptide(MDP)を腫瘍抗原ペプチドと併用して担癌マウスに投与したところ50%生存期間の延長が軽度に認められた。1998年度はP815をDBA/2マウスに接種し、担癌としてその後PIAペプチド及びMDPを単独または併用して1週間隔で2回投与した後、宿主マウスよりspleen cellを採取、さらにT細胞分画を得てCTL活性、IL-2産生能、IFN-r産生能、フローサイトメトリーによるCD8分画とCD4分画の割合の検討を行った。以上研究の結果より腫瘍抗原ペプチドはAntigen presenting cell(APC)に処理されることにより、ヘルパーT細胞の活性化、ひいてはCytotoxic T lymphocytc(CTL)の活性化が行われると考えられるが、peptide単独投与群ではCTLの活性化が効果的に行われにくい所見がみられた。peptide+MDP群ではpeptideのみの投与に比べ外来抗原として処理されていく過程でMDPがアジュバントとしてうまく作用したと考えられた。
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