研究概要 |
これまで口腔粘膜の癌化に対するc-fosやc-junなどの転写因子の発現の変化を臨床症例を対象に調べてきた結果、これらの遺伝子は、非腫瘍性上皮細胞(正常口腔粘膜、炎症性口腔粘膜病変など)では高頻度で強度に発現する傾向があるのに対し、各種前癌病変(白板症、扁平苔癬、乳頭腫性疣贅性白板症など)、扁平上皮癌と悪性度が増加するにつれて発現の頻度や強度は低下する傾向があることを確認した。ただし、これらの遺伝子発現は標的遺伝子の転写を促進すると考えられているが、癌化との直接的関連性は証明されていない。 そこで今年度は、細胞サイクルやアポトーシスに関係して口腔粘膜の癌化に深い関連性のある遺伝子p53,p21,bclなどの発現とc-fosやc-junの発現との関係を、種々の癌化の過程を示す口腔粘膜病変について調べてみたが、現在までのところ明確な関連性を示すデータは得られていない。
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