研究概要 |
インプラント周囲にヒト歯根膜由来培養細胞を用いた人工歯根膜を介在させ天然歯により近い機能を再現させることを目的とした人工歯根修復法の第1段階として、ヒト歯周組織由来細胞の培養を試み、細胞培養に関する基礎的検討を行った。 東京医科大学口腔外科外来において、歯周組織と矯正治療のための便宜抜去歯及び埋伏智歯抜去歯等の歯根面より歯根膜組織を採取し、初代培養を行った。採取した組織は10μ g/ml Fungizoneを含むRPMI-1640に直ちに無菌的に保存した。組織片はPBSで3回洗浄した後、2mM L-glutamine,5 μ M mercaptoethanol、100units/ml penicilin G、100μ g/ml Kanamysin,10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI-1640を培養液としてexplant法を用いて12well multi plate上で、37℃、5% CO_2インキュベータ内で静置培養した。培養1週間目より歯根膜片より線維芽細胞様細胞が認められた。Outgrowthした細胞がconfluentにmonolayerとなった時点で、0.05%Typsin,0.53mM EDTAで細胞分散し継代培養を行った。培養液は3〜4日毎にその半量を交換し、7日毎に継代培養した。 全過程を通じて倒立位相差顕微鏡下で線維芽細胞様細胞がsheet状に増殖するのを観察した。細胞は約3ヶ月間RPMI1640/FCS存在下で維持することが可能であった。形態学的観察から、実験に供するには3〜8代継代培養した細胞が適当と思われた。またヒト歯根膜細胞の初代培養の成功率は70%であった。歯周疾患を患っている高齢者の組織は細菌汚染により継代培養を行うことが困難であった。一部の細胞についてはcytokeratin(AE1+AE3)陰性であることを確認した。現在、この他にFacsを用いて細胞の表面性状、接着因子等について検討中である。
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