研究課題/領域番号 |
09672071
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
高杉 嘉弘 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (90120683)
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研究分担者 |
柴田 聡彦 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (80206127)
中村 仁也 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (80139295)
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キーワード | 下歯槽神経伝達麻酔 / 翼突下顎隙 / 近位伝達麻酔法 / 局所麻酔薬 / X線テレビジョン / X線断層撮影 / 下歯槽神経 / 神経・筋損傷 |
研究概要 |
日本歯科大学歯学部附属病院麻酔科あるいは口腔外科外来で下顎臼歯の抜歯を予定した患者100名を対象に近位法による下歯槽神経伝達麻酔を行った。患者を水平位(水平位群、47名)あるいは座位(座位群、53名)として、30G、21mmディスポーザブル注射針を装着した歯科用カートリッジ注射器、1/80,000エピネフリン含有2%リドカイン1、8mlを用いて近位法を行った。舌、下唇の知覚鈍麻が発現し、さらにピンセット刺激による下唇の無痛を確認した後、頬側歯肉への浸潤麻酔を行い、抜歯を開始した。 近位法による伝達麻酔の終了時から患者の申告による舌、下唇の知覚鈍麻時間、下唇の無痛発現時間ならびに手術開始時間ならびに追加投与の有無を記録した。麻酔効果の判定はDobbs and De Vierの評価法により行い、Grade A、Grade B、Grade Cに分類した。 Dobbs and De Vierの麻酔評価法によるGrade Aは64%、Grade Bは12%、Grade Cは24%(1例は全く麻酔効果が得られなかった)で、奏効率は76%であった。麻酔効果が得られたGrade AとBにおける知覚鈍麻発現時間は、舌が2分20秒±1分35秒、下唇が3分39秒±2分47秒で、下唇の無痛発現時間は5分14秒±3分54秒で、手術は10分35秒±6分00秒後に開始された。また、体位の違いによる差は認めなかった。 以上の臨床評価の結果は、翼突下顎隙の前方部に刺入する近位法の奏効率、奏効時間は、下顎孔を刺入目標とする従来法と差はなく、解剖学的刺入部位の違いを考慮すると、近位法は同等な効力をより安全な方法で行うことのできる下歯槽神経伝達麻酔法であると考えられる。
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