研究概要 |
【目的】顎関節症の退行性病変を主徴とした症例の診断には困難が伴う.骨・軟骨組織の初期あるいは軽度の障害には骨シンチグラフィーの鋭敏性が良いことが知られている.しかし,ラジオアイソトープを使用した核医学診断は被爆の問題や経済性を無視できない.そこで顎関節症における骨組織破壊マーカー(1CTP)を応用した滑液分析を検討することにより,1CTPがsensitivity,specificityの高い顎関節骨破壊の検査方法として滑液分析に応用される可能性に着目した. 【対象患者および研究方法】対象患者は顎関節変形性関節症及び疑いのある症例,でインフォームドコンセントを得られた30症例が本研究の対象となる. 1.顎関節症患者(変形性関節症を含む)の骨シンチグラフィー,X線写真検査を治療前後に行う. 2.顎関節症患者(変形性関節症を含む)の滑液採取,滑液の分析. 滑液採取は顎関節上関節腔洗浄療法時に行い,1CTPと各種サイトカイン(IL-1β,IL6,TNFα)の測定を行う. 3.顎関節上関節腔洗浄,パンピング療法はフロリダ大学Nizan,Dolwicらの方法に準じて行う. 【検討項目】以下の項目に関して検討を加えた. 1.1CTP値の異常-滑液中1CTP値が骨組織崩壊の指標になるかどうかを明かにする. 2.1CTP値の鋭敏性-骨シンチグラフィーとのsensitivityの比較 3.1CTP値とサイトカインとの関係-顎関節症治療後の予後判定の指標となり得るか. 【結果】現在対象患者は8例で,顎関節上関節腔洗浄,パンピング療法前の診査および滑液採取を行った.また5例に関しては,1CTPと1CTPの測定を終了,治療後の経過観察を行っている. 今後平成10年度に引き続き研究を予定しており,結果の解析を行う.
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