研究概要 |
顎関節症の退行性病変を主徴とした症例の診断には困難が伴う。骨・軟骨組織の初期あるいは軽度の障害には骨シンチグラフィーの鋭敏性が良いことが知られている。しかし、ラジオアイソトープを使用した核医学診断は被爆の問題や経済性を無視できない。そこで顎関節症におけるパンピング施行時に希釈回収法により採取した滑液において、骨吸収マーカーとしてのI型コラーゲンC末端テロペプチド(以下ICTPと略す)、骨形成マーカーとしてのI型コラーゲンC末端プロペプチド(以下P1CPと略す)を応用した滑液分析を検討することにより、ICTPとP1CPがsensitivity、specificityの高い顎関節骨破壊の検査方法として滑液分析に応用される可能性に着目した。 1) 滑液中のICTP,P1CP値の異常-滑液中1CTP値が骨組織崩壊の指標になるかどうかを明かにする。 2) ICTP,P1CP値の鋭敏性-骨シンチグラフィーとのsensitivityの比較。 3) ICTPとP1CP値の関係-顎関節症治療後の予後判定の指標となり得るか。 以上の項目について検討を加えた。 対象は、女性19例、男性5例、年齢は14歳から86歳、(平均年令は42.1+20.1歳)のInternal Derarngement(以下IDと略す)とOsteoarthrosis(以下OAと略す)の患者を、ID群14例16関節、OA群10例10関節に分類した。ID群のICTP,P1CP値はそれぞれ2.4±2.2ng/ml、55.9±60.4ng/mlで、OA群では、それぞれ2.6±2.8ng/m、82.9±119.2ng/mでOA群でいずれも高値であったが、今回の検討では統計学的有意差は認めなかったが、ICTPとP1CPは相関を認めた。
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