入院の上歯科治療を予定した65歳以上の患者を対象とした。長谷川式簡易知能評価スケールを用い正常、軽度痴呆、中等度痴呆、重度痴呆の4段階に分類し、それぞれに、歯科治療中および歯科治療後の循環動態を調査した。老人の感情は内的刺激より外的刺激に影響されるといわれる。外来刺激として歯科治療の他に環境温度を測定した。環境温度は±5℃の範囲で変化していたが、患者は順化した温度が高くなるより、低下するほうが循環動態に影響するようであったが歯科治療中には特に有意な影響はなかった。歯科治療は観血的処置(抜歯)と非観血的処置(充填、印象、スケーリング、など)に分けた。観血的治療後3時間頃よりR-R間隔周波数領域解析法でLF/HFが上昇し始め交感神経機能の緊張が持続する傾向が見られた、平均血圧は術前、術後で特に変動は見られなかったが、トイレの際の一過性の血圧上昇は術前値に比べて高値を示していた。また、DOUBLE PRODUCTを見るとトイレ以外に食事摂取時に値は高くなっている。術後に交感神経系が緊張するのは局所麻酔の効果が薄れ、痛みにより興奮し、交感神経が過敏になったのではないかと推察される。そこに血圧を上昇させる排便が重なると通常より血圧が上昇すると考えられる。術後に痛みを自覚する治療では、循環器系疾患を有する高齢者では術後鎮痛・鎮静に十分配慮したほうが偶発事故を予防できると推察された。 現在データーの取り纏めに時間が掛っており、詳しい報告は若干おくれます。
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