研究概要 |
前年度初代培養したSchwann細胞を用い人工神経管開発を行うことを目的として、今年度の研究に入った。先ず、計画していた神経管の作成であるが、W.F.A.den Dunneらの論文であるBiological performance of a degradablepoly(lactic acid-e-caprolactone)nerve guide:Influence of tube dimensions.J.Biomed.Mater.Res.Vol.29,757-766,1995.を参考に生体内吸収性の神経管を作成することに着手した。しかし、この論文記載にはその詳細が記載されてないことより、作成は困難を極めた。そのため、現在臨床応用されている吸収性の管状の材料を、日本のメーカーおよびアメリカのメーカーすべてに問い合わせたが、どのメーカーにおいても持っておらず、断念せざるを得なかった。そこで、Schwann細胞の持つ神経線維の増殖に与える影響を検索すべく研究を進めているのが現状である。これは、研究の方針を変えたのではなく、最終目的である、神経欠損部に応用する人工神経管開発を目指すべく、Schwann細胞の産生する細胞外基質の中で、神経線維の増殖に最も有益な刺激を与えるものを検索しようとするものである。この神経線維は、われわれ顎顔面領域の臨床を行うものとして最も関わりを持つところの、三叉神経を使用する予定である。
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