研究概要 |
本研究は,口腔癌に対する免疫療法を開発することを目的として,N.Yamamotoらにより血清中のビタミンD_3結合蛋白を前駆体として新規に発見されたヒトマクロファージ活性化因子GcMAFを用いて,ジメチルベンツアントラセン(DMBA)によるハムスター頬嚢化学発癌系における発癌抑制効果を検討したものである.平成10年度では,さらに実験動物数を増やし,平成9年度の実験結果を追試した.今回も前回と同様,GcMAF投与により腫瘍形成時期の遅延,腫瘍増殖速度の低下傾向が見られたものの,前回ほど顕著ではなかった.また前年度に,GcMAFにより活性化された腹腔マクロファージが,ベビーハムスター腎培養細胞であるBHK21に対して細胞障害活性を有していることを報告したが,このマクロファージはヒト口底癌培養細胞KBに対しても同様の細胞障害活性を示した.そこで現在は,DMBA誘発ハムスター頬粘膜扁平上皮癌より分離された培養腫瘍細胞に対する活性化マクロファージの細胞障害活性を,^<51>Cr放出試験で検討中である.また,GcMAFがヒト血清由来であるため,ハムスター血清由来のGcMAFを作成し,効果を検討予定であるすなわち,25-ヒドロキシビタミンD_3アフィニティーカラムを用いて,ハムスター血清よりビタミンD_3結合蛋白を分離精製した.それをβ-ガラクトシダーゼ処理することにより,ハムスターGcMAFを作成し,その活性を検定中である.
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