研究課題/領域番号 |
09672093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須佐美 隆史 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80179184)
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研究分担者 |
黒田 敬之 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10013939)
栗原 裕基 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20221947)
高戸 毅 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90171454)
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キーワード | エンドセリン-1 / 神経堤細胞 / 上皮間葉相互作用 / 第一鰓弓 |
研究概要 |
本年度は、エンドセリン-1欠損マウスにおける鰓弓由来顔面組織の障害を、肉眼的、組織学的に調べる目的で、1)光学顕微鏡による肉眼的観察 2)頭頚部連続切片(パラフィン、レジン)の作成、観察 3)骨、軟骨透明標本の作成、観察を行った。 エンドセリン-1欠損マウスでは、胎生9、5日で第一鰓弓の腹側先端部の隆起を欠失していた。組織学的には、この部位の上皮直下の間葉凝集度が低く、間葉細胞の増殖、分化も正常マウスと比べ遅延していた。胎生12、5日でメッケル軟骨が形成されるが、エンドセリン-1欠損マウスでは腹側部一部でその存在を認めるものの、背側では完全に欠如していた。胎生13、5日以降になると、メッケル軟骨を取り巻くように下顎骨が形成されるが、エンドセリン-1欠損マウスでは異所性の島状の下顎骨の散在、これに伴う下顎突起の口窩への張り出しが認められた。また、舌の矮小化、分化遅延も認めた。上顎においては口蓋突起癒合不全が確認された。出生直後エンドセリン-1欠損マウスは呼吸不全のため全例死亡した。下顎は正中癒合不全を呈し、下顎骨、頬骨、舌骨、甲状軟骨の低形成、鼓膜輪と耳小骨の欠如、及び耳介の形成異常が認められた。 以上の結果より、本研究における形態異常は、胎生初期の神経堤細胞由来の間葉凝集不全から端を発していると推測される。来年度は、間葉凝集期に発現している諸因子についてRT-PCR,In Situ Hybridyzation,免疫染色等の手法を用いてエンドセリン-1との関連を明らかにしていく予定である。
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