本研究の目的は、表情を作成するときの顔面皮膚の動きを表示できるコンピュータシステムを作成し、顔画像モデルを用いて、外科的矯正治療前後の表情表出の違いを調べることと、この顔画像モデルの動きを見ながら外科的矯正治療後の患者が表情筋を動かして表情表出を行うトレーニングが行えるまでに発展させることである。 本年度の研究成果 1. 外科的矯正治療による表情表出の変化 昨年度に、三次元標準顔モデルに正面顔写真を整合させて、表情を作る顔画像ソフト「顔ツール」ができ、この「顔ツール」を使い、外科的矯正治療前後のそれぞれの正面写真からそれぞれ普遍性の基本的感情カテゴリーの6表情を作成した。そして、顔に関して関心の高い42名の被験者に評価させた。その結果、結果、「驚き」、「恐れ」、「嫌悪」で治療後に印象が強かった。これにより、外科的矯正治療による表情変化が明確となった。 2. 表情表出トレーニング 「顔ツール」を用いて、一つあるいは複数のAction Unitsを動かした顔画像と鏡に写った顔を対比させながら、表情表出するトレーニングが行えた。これにより、顎変形症患者が手術後にこのトレーニングを行うことで、術後に危惧される知覚麻痺の予防にも効果があることが予想された。
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