研究概要 |
若年期の顎関節症に伴う下顎頭吸収が,顎顔面形態に及ぼす影響について検討することを目的として本研究を行った. 20名の顎関節症状を伴う偏位症例矯正患者に対してMRI撮影,3次元CT画像,側面および正面セファログラム,咬合力測定,筋電図測定を行った. 1.MRIを用いた関節円板の解析では,偏位側で関節円板前方転位が有意に多く見られた. 2.3次元CT画像では,偏位側の下顎頭の面積が小さく,関節突起長が短いことが示された. 3.筋電図解析では,偏位側で筋活動が高いことが示された. 4.咬合力解析では,偏位側で咬合力が大きいことが示された. 以上の結果から,顎偏位症例では偏位側で関節円板転位が多く,下顎頭の発育が抑制されていることから,関節円板転位に伴う下顎頭への負荷が下顎頭の骨改造に関連している可能性が示された.また,偏位側で咬合力が大きく,筋活動が高いことから機能的要因の関与も考えられた.今後は下顎頭運動,各歯における咬合力の3次元分布の模型解析を行い,顎運動,歯の配列が顎偏位症例における顎関節症患者における下顎頭吸収にどのような影響を与えているかを検討する.
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