15年間の推移からみた口腔保健と健康との関連

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09672105
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 新庄 文明 大阪大学, 医学部, 講師 (30154389)
• 研究分担者: 福田 英輝 大阪大学, 医学部, 助手 (70294064) ; 中西 範幸 大阪大学, 医学部, 助教授 (90207829) ; 多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 教授 (20107022)
• キーワード: 歯の喪失 / 成人歯科健診 / 個別指導 / 現在歯数 / 喪失歯数 / 刷掃指導

研究概要

目的: 成人の健康管理の一環として実施されている歯科健診事業の実績をもとに、歯科健診の受診および事後指導による歯の喪失防止効果を明らかにする。
対象と方法: 兵庫県N町における基本健康診査の受診者全員を対象として口腔診査を実施し、受診者に対して歯科衛生士が刷掃指導を行い、歯周疾患の有病者は事後個別指導の対象者とし、歯科衛生士が歯科疾患の予防のための歯面清掃と歯石除去などの予防処置を行った.1983(昭和58)〜1987(同62)年の口腔診査受診者のうち、1993(平成5)〜1997(同9)年の期間にも歯科健診を受診した者のうち初診時年齢40〜59歳の307名について、初回健診受診後の個別指導有無別、および初回健診受診後の健診受診回数別の、一人平均喪失歯数を比較した.
結果: 健診受診後の個別指導の回数が0回の者では、1年あたり平均喪失歯数が40〜49歳では0.4本、50〜59歳では0.73本であったが、指導回数1〜2回および3回以上の者においては、40〜49歳ではそれぞれ0.22本と0.21本、50〜59歳では0.37本と0.33本であり、指導回数が多いほど喪失歯数が少なかった(40〜49歳p<0,05,50〜59歳p<0.001)。またいずれの年齢区分においても、初回健診受診後の健診受診回数が多い群において、1年あたり喪失歯数が有意に少なく、その差は有意であった(40〜49歳p<0.001,50〜59歳p<0.01)。

研究成果

• [文献書誌] Shinsho,F.,Tatara,K.,et al: "Dose prompt treatment of hypertension after blood pressure check-ups reduce morbidity of cerebrovascular desease?" Environmental Health and Preventive Medicine. 2(4). 151-156 (1998)
• [文献書誌] 新庄文明,D Berkey: "高齢者に対する地域歯科医療と歯科臨床判断" 日本補綴歯科学会雑誌. 42(2). 201-206 (1998)
• [文献書誌] 新庄文明,J Fiske: "保健と介護の時代における地域歯科医療" 歯科救急医療. 19(1). 5-14 (1998)
• [文献書誌] S Gelbier,新庄文明: "高齢福祉社会における地域歯科保健サービス" 歯界展望. 92(2). 450-457 (1998)
• [文献書誌] 新庄文明,福田英輝,多田羅浩三: "高齢者の口腔環境と歯の喪失" Clinical Calcium. 9(3). 340-344 (1999)
• [文献書誌] N Nakanishi,K Tatara,F Shinsho et al: "Prevalence of intellectual dysfunctioning and its correlates in a community-residing elderly population" Scand J Med. 26(in print). (1999)
• [文献書誌] 金沢紀子,斉藤郁子,松田智子,新庄文明,末高武彦,宮武兆吉,安井利一(編著): "歯科保健指導ハンドブック" 医歯薬出版, (1998)
• [文献書誌] 新庄文明: "Trend in social needs for dental services(in 中尾勝彦・北河原健 編 Follow-up System for Oral Care:韓国語訳)." 智成出版,Seoul, (1999)