研究概要 |
目的: 成人の健康管理の一環として実施されている歯科健診事業の実績をもとに、初診時の状況および受診回数、事後指導回数による歯の喪失防止効果への影響を明らかにする。 対象と方法: 兵庫県N町における基本健康診査の受診者全員を対象として15年間にわたり口腔診査を実施し、受診者に対して歯科衛生士が刷掃指導を行い、歯周疾患の有病者は事後個別指導の対象者とし、歯科衛生士が歯科疾患の予防のための歯面清掃と歯石除去などの予防処置を行った.1983(昭和58)〜1987(同62)年と1993(平成5)〜1997(同9)年の各期間に1回以上受診した者について、初回健診時の歯周疾患、現存歯数、受診後の個別指導有無および健診受診回数と一年あたり平均喪失歯数との関連について分析した. 結果: (1)初診時の状況で、年平均喪失歯数と有意な相関を有する要因は、年齢、う蝕歯数、歯周疾患の状況、口腔清掃状態、動揺歯・腫脹の有無などであった。 (2)初診時年齢39歳以下においては、初診時のPI最大値=6,8の群の年平均喪失歯数は、PI最大値=0,1,2,4の群に対して、男性で、3.56倍、女性で、3.65倍大きかった。 (3)初診時年齢40-59歳においては、初診時の現在歯数11〜20本群の年平均喪失歯数は、初診時の現在歯数21本以上の群にたいして、男性で1.55倍、女性で1.37倍であった。 (4)事後個別指導0回の群の1年あたり平均喪失歯数は、指導回数3回以上の群に対して、40〜49歳では1.9倍、50〜59歳では2.21倍であった。 (5)初回健診受診後の健診受診回数0〜4回群の1年あたり平均喪失指数は、指導回数10回以上の群に対して、40〜49歳では4.0倍、50〜59歳では1.64倍であった。
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