研究概要 |
象牙質再石灰化に対するレーザー照射ならびに酸性フッ素リン酸溶液(APF)の影響をin Vitroで検討した。研磨によってセメント質を除去したヒト・小臼歯歯根を乳酸ゲル(0.1M乳酸,6wt%carboxymethylcellulose,pH=5.0,37°C)に2週間浸漬して脱灰した後,4分間のAPF処置の有無,レーザー照射(Q-switch Nd-YAG 1aser,wavelength:0.53μm,総エネルギー密度100J/cm^2)の有無によって4グループ(1グループ6試料)に分けた。全ての処置は乾燥を避けて湿潤状態で行われた。4グループ全てが2ppmフッ素を含む再石灰化溶液(20mM HEPES,1.5mM Ca,0.9mM P,pH=7.0)に2週間浸漬された。再石灰化の評価はマイクロラジオグラフィーを用い,そのdensityからミネラル分布を定量的に評価した。さらに再石灰化層をSEMで観察した。結果は1)APF処置を受けない条件でのレーザー照射は対照と比較した場合,表層の過剰再石灰化であるhyper-remineralizationを抑制しLesion depthの回復も有意に大きかった。2)APF処置は再石灰化を有意に促進すると同時にhyper-remineralizationを抑制した。3)APF処置群ではその再石灰化促進効果が大きいためにレーザー照射の効果は認められなかった。hyper-remineralizationの有無はSEM観察からも同様の結果が得られた。
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