研究概要 |
本研究は,歯科医療従事者の集団を対象にHCV血清抗体を継続的に追跡調査し,その陽転率を算定すると同時に職業上の推定感染源,非職業上の推定感染源について聞き取り調査を行い,その結果を非医療系職業従事者の結果と比較して,歯科医療従事者の職業上のHCV感染の危険性を評価し職業上の感染経路を明らかにすることを目的とする. 本研究はコホート研究とし,初回抗体測定でのHCV抗体陰性者にてコホートを構成し,経年的にHCV抗体の測定および感染要因に関する聞き取り調査を行っている.聞き取り調査は性,年齢,職種,診療従事年数だけではなく,非職業上の推定感染源に関して肝炎の既往・輸血歴・人工透析歴・家族内のHCV抗体保有者の状態,職業上の推定感染源に関して前回調査以後における針刺し事故の頻度や状態について行っている.平成10年度までに784名の歯科医療従事者について調査を行いコホートを設定したが,本年度はさらに新たに47名の歯科医療従事者について調査を行いコホートに追加した.また本年度研究では,平成10年度までに設定したコホートのうち67名について再調査を行ったが,抗体陽転例は認められなかった. 本研究は,これまで神奈川県内3地区の歯科医師会の協力を得て行われており,それぞれの歯科医師会に所属する歯科医師およびその従業員を対象としている.本年度は研究の最後の年となるため,これまでに設定したコホート全体の調査を予定している.
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