研究概要 |
平成9年度は動的治療終了1,005例を(1)I、II、III級、(2)抜歯、非抜歯(治療方法の差)、(3)若年者と成人の各項目の組み合わせにより『治療期間の長短』『成績(治療結果)の良否』を検討した。その結果、治療難易度の高い組み合わせ(治療危険因子の最も多い症例+治療方法群)は成人のII級抜歯症例群であることが判明した。 平成10年度は治療難易度を増加させる因子(治療成績を左右する治療危険因子)として上下顎骨の成長発育能(様相)に着目し、治療中出現する顎骨の変化様相を(1)I、II、III級、(2)抜歯、非抜歯(治療方法の差)、(3)治療成績の良否の各因子の組み合わせにより検討した。 その結果、治療成績の良否を左右する特徴的な成長発育様相が次の組み合わせにおいて認められた。 1. 骨格性I級抜歯症例群においては、1)ANBの変化(改善度):良好群>不良群、2)下顎前歯の舌側傾斜度:良好群<不良群であった。 2. 骨格性II級抜歯症例群においては、1)ANBの変化(改善度):良好群>不良群、2)開大傾向(不良群)、閉鎖傾向(良好群)、3)咬合平面の開大傾向(不良群)、閉鎖傾向(良好群)であった。 3. 骨格性III級抜歯症例群においては、1)咬合平面の開大傾向(不良群)、閉鎖傾向(良好群)であった。 4. I、II、III級非抜歯症例群では特徴的な差異は認められなかった。 平成11年度は治療成績を左右する因子探索の最終年度に当たるため若年者・成人における歯根吸収の出現様相を検討する計画である。
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