研究課題/領域番号 |
09672122
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
笠茂 幸嗣 日本大学, 歯学部, 講師 (20120404)
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研究分担者 |
片山 一郎 日本大学, 歯学部, 講師 (70130466)
太田 肇 日本大学, 歯学部, 講師 (50059812)
池谷 正洋 日本大学, 歯学部, 講師 (40059275)
升谷 滋行 日本大学, 歯学部, 講師 (40157201)
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キーワード | 感染性環境汚染 / 拭き取り検査 / 衛生管理 / ATP / ルシフェラーゼ / 発光量 / 汚染度 / 感染予防 |
研究概要 |
1. ATPを汚染指標とした歯科診療室の感染性環境汚染度測定 歯科診療環境の汚れをATPで測定する『拭き取り検査法』を確立した。試験管に滅菌精製水1.0mlをとり、これに浸漬した滅菌綿棒で検査箇所の40mm×50mmの範囲を拭い、拭き取った綿棒を試験管に戻し濯ぐ。この液をATP測定用試料とする。ATP測定は採取した濯ぎ液0.1mlに、ATP抽出試薬0.1mlを加え、ATP発光試薬(ルシフェリンルシフェラーゼ)を加え、ルミノメーター(ルミテスターK-210)で発光量の測定を行った。測定箇所は使用器械については先端部および把持部を、術者、介補者および患者の顔面、胸部、さらに術者と介補者については左右前椀部をも測定箇所に加えた。 2. ATP測定を応用した歯科診療室の汚染度のモニタリング ATP濃度(=汚染の程度)が小さいほど発光計測値(RLU)が小さく、滅菌精製水(10未満)を基準として、滅菌エアタービン注水切削後の汚染度を測定した。その結果、タービンヘッド、バキュームチップについては10000以上で汚染度が高いことを示した。また、術者や患者の顔面について1000以上の値を示す場合もあった。術者や介補者の前椀部において100以上の値が認められる症例もあった。食品製造加工業における“まな板の清浄度検査法"ではRLU値が100未満では混釈培養では微生物が検出されず、この結果の意味するところは、食品加工ではATP測定による発光量が100未満では微生物の検出される可能性が非常に少ないので『安全』と判断されるが、歯科診療時に発生する切削粉塵には、口腔からの血液および唾液に含まれる細菌やウイルスなどの微生物が多種多様で、培養による微生物の確認が非常に困難な場合が知られており、二次感染の発生を未然に防止するためには『安全』との判断基準をより厳しくする必要がある。
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