研究概要 |
掲題研究の平成10年度研究計画の要点は、 1)計測時の患者頭部固定装置のための補助具を製作する。2)平成9年度に開発したソフトウエアが、骨格性角度計測項目を中心に7項目のみ算出する程度の小規模なスケールであったため、計測項目数の大幅な拡充を図るとともに、軟組織計測を含めた多目的利用のプログラミングを目指す。3)システムの最終的な較正とサンプル計測を実施する。以上の3点であった。1)については、メイフィールド型頭部固定装置にマジックテープを組み合わせることによって、3次元的位置調整が可能で且つ簡便な補助具を完成した。2)については、計測ランドマーク総数60点を網羅し、距離および角度計測を併せて93項目の計測が可能となった。これは軟組織計測が追加されただけでなく、当初の正中矢状平面上だけでなく、眼耳平面上および眼窩平面上での計測も可能となったことが大きな要因である。3)については、まず較正用ブロックゲージ(寸法10mm)を計測対象に、高精度で知られる接触式3次元計測器カールツアイスUMC-S850を対照として本システムとの比較計測を行なった。結果は、本システムの精度が±0.0515mmに対し、カールツアイスの精度が±0.0005mmと、カールツアイスの高精度は固より、本システムの満足のできる精度が確認された。加えて、ヒト乾燥頭蓋を計測対象として合計31点のランドマークの3次元座標値(x,y,z)を計測採取し、絶対座標値に変換後、本システムとカールツアイスで比較計測した。座標値(x,y,z)の各値に関する両システム間の差は絶対値で各々平均0.2670mm,0.3623mm,0.l370mnと極めて良好な結果であった。また頭蓋顎顔面計測項目における両者の比較においても大きな差はなかった。更に両者の結果を頭部X線規格写真分析値と比較したところ、興味ある結果が得られた。次に、同様の比較計測でサンプルをヒトに変えて実施した。結果から、多数ある計測項目を取捨選択することによって、本システムの臨床応用が可能となると考えられた。
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