研究目的および方法:愛知学院大学歯学部附属病院小児歯科外来に来院した小児の歯周疾患の臨床評価および細胞学的特性を検討した。調査対象は、本学小児歯科外来に来院した全身的既往歴のない健常小児30名(健常群13名、歯肉炎群17名)を被験者とした。歯肉炎群は、CPITN codeが6以上の者とした。各被験者の臨床評価の被験歯は、上顎右側中側切歯および第一大臼歯、上顎左側第一大臼歯、下顎左側中側切歯および第一大臼歯、下顎右側第一大臼歯とし、CPITN code、PI Index(Periodontal Index)を、上下顎の前歯部においてはPMA Indexを使用した。 研究結果:1)健常小児のうち、健常群のCPITN codeは1.08±0.40(平均±SE以下同じ)で歯肉炎群は6.71±0.14であった。健常群のPIは0.37±0.13で歯肉炎群は1.67±0.07であった。健常群のPMA Indexは9.0±2.61で歯肉炎群は21.1±0.41であった。2)(1)健常小児(健常群)2名の歯肉線維芽細胞を用い、一定の密度に調整した細胞にサイトカイン7種類(EGF、FGF、IL-1β、IL-6、PDGF、TGF-β、TNF-α)を0.1ng〜10ngの濃度で添加し、細胞増殖能をマイクロプレートリーダーを用いたMTT法により検索した。その結果、EGF、FGFにおいては10ng/mlで最大活性の増殖能を示し、IL-1βは500pg/mlで最大活性を示した。PDGFは5unit/mlで最大活性を示した。TGF-β、TNF-αにおいては10ng/mlで最大活性の増殖能を示した。IL-6は濃度依存性は認められなかった。TGF-β、TNF-αは、10ng/mlで最大活性の増殖能を示した。一番増殖活性の値が高かったサイトカインは、PDGF、IL-1βであった。今後、歯肉線維芽細胞における組織修復能を検索するために、歯肉線維芽細胞にIL-1βを作用させ、その組織修復能をサイトカインを用いて検索する予定である。
|