研究概要 |
研究結果:1)小児の歯周疾患におけるサイトカインの影響をみるために小児の歯周線維芽細胞IL-1βを0.1〜10ng/mlで作用させ、作用2日後,4日後の細胞増殖能を成人(30代〜60代)と比較した.その結果,小児においては作用2日後の0.1ng/mlにおいて一番増殖能が認められた.成人30代においては作用2日後の10ng/ml,60代においては,作用4日後の10ng/mlにおいて一番増殖能が認められ,小児と成人においてのILー1βに対する反応性が異なっていた.2)IL-1β0.1〜10ng/ml作用後の無血清培地の培養上清を用い,その組織修復能における反応性をみるためにPDGF-AB,b-FGF活性を測定した。その結果、PDGF-ABにおいてIL-1β濃度10ng/mlで作用させた小児の歯肉線維芽細胞の培養上清中のPDGF-AB活性が高かった。b-FGF活性においてもPDGF-AB活性と同様の結果であった. これらより,小児の歯周疾患においてはその形成機序が成人性歯周炎と比較し、早期において低濃度のIL-1βに対する反応性が現れ,炎症状態が成人と同じ状態であっても組織修復因子が組織中に放出されることのより歯肉炎から歯周炎に移行していかない原因の一つとして考えられた.また,成人期からの歯周炎への移行を防ぐためにも余分なブラークコントロールを行うことが重要であると思われた. また,成人においては、PDGF-AB,b-FGFの様な組織修復因子の投与が歯周組織の再生を誘導するてがかりとなる可能性が示唆された.
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