研究概要 |
1.三次元培養と単層培養の細胞数の確認 旭化成セルロースポーラスシート(以下ACPS)を用いて三次元培養を行なった場合の細胞数を,総DNA量を測定することによって確認することを試みた. 方法1として,ACPSと,対照群として35mm culture dishに骨芽細胞様肉肉腫細胞MG-63(以下MG-63)を2.5×10^4個になるように調整し,播種した.これを,それぞれ1週間培養した後,総DNA量をHeinegardnerの方法で測定した. その結果,直径35mmのACPS1枚に対して約10μgの総DNA量が得られた.これは単層培養とほぼ同量であった. しかし,総RNAを抽出する細胞数としては不足しているため,方法2として三次元培養はACPSに加え,同じ成分で構成されるマイクロキャリアー(旭化成)を混合して培養した. この結果,35〜50μgの総DNA量を得ることができた.これは75mm^2culture flaskにて単層培養を行なった場合と同等の総DNA量であった. 2.ACPSによる三次元培養を行なった細胞からの蛋白質産生の確認 mRNAの発現を確認することで,各種蛋白質の産生の指標とした.そのため,まずACPSにて三次元培養をした細胞からmRNAを回収することを試みた. 方法として,ACPSから細胞を分離せず,そのままISOGEN法にてmRNAの抽出を行なった.mRNAの濃度および純度は分光光度計にて測定した. その結果,1480ng/μl〜10180ng/μlのmRNAが回収できた.しかし,単層培養をした場合は,平均8420ng/μlと濃度・純度ともに安定していたのに対して,三次元培養は回収量が一定せず,さらなるmRNAの回収方法の検討が必要とされた.今後,mRNAを再溶解・再抽出し,純度を向上させる方法を試みる予定である.
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