研究概要 |
1. キャリアー材からのtotal RNAの抽出 キャリアー材として100%セルロース製旭化成マイクロキャリアー(以下MC)を用いた.MC 0.25g(乾燥時)に対して骨芽細胞様骨肉腫細胞MG-63(以下MG-63)を2.5×10^4個になるように調整し,播種した.これを,75cm^2カルチャーフラスコにて1週間培養した後,MCを15ml容量のガラス製遠沈管に移し上清を除去,ISOGEN法にてtotal RNAの抽出を行なった.この後,DNase処理を行なうことにより平均25.3μg/volのtotal RNAを安定して回収できるようになった.対照群として単層培養したMG-63から同様の方法にてtotal RNAの回収を行なった場合,75cm^2カルチャーフラスコで平均42.6μg/volであった. 2. RT-PCR法によるMMPs,TIMPs発現の半定量的計測 MCを用いて三次元培養を行なったMG-63と通常の単層培養を行なった同細胞から,上記の方法で回収したtotal RNAに対してRT-PCR法を用いてMMPsとTIMPsのmRNAの発現を比較した.なお,ポジティブコントロールとしてglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenes(GAPDH)を用いた. その結果MTl-MMP,TIMP-1,TIMP-2に関して,明らかに三次元培養を行なった方のmRNAの発現が強かった.つまり単層培養よりも三次元培養を行なった方がMTl-MMP,TIMP-1,TIMP-2の産生がmRNAレベルで多いことが示唆された.しかし,MMP-2,MMP-9に関しては今だ単層培養,三次元培養共にmRNAの発現を確認できず,今後,培養時間,プライマーの設計等を再検討し実験を行なう予定である. 3. MG-63の三次元培養におけるメカニカルストレスの影響 MCを用いて三次元培養を行ない,5%CO2,37℃条件下にて1週間間培養した後,カルスターフラスコダブルアーム(柴田科学)にて撹拌しながら24時間培養した.対照群は実験群と同量の培養液を加え24時間静置した.その後MCを回収し,上記と同様の方法でtotal RNAを抽出した.今後,RT-PCR法にてMMPsとTIMPsの発現を比較する予定である.
|