研究概要 |
1.新規パラジウム反応系を用いたケレリスリン型塩基をはじめとするベンゾ[c]フェナンスリジン型塩基の一般的合成法の検討 (1)ケレリスリン型塩基の合成研究 すでに我々はパラジウム試薬による分子内aryl-arylカップリング反応を用いるケレリスリン型塩基の合成研究を行い、脱離基がハロゲン(よう素、臭素)の場合には、通常のPd(OAc)_2-PPh_3の条件で収率良く目的の反応が進行することを明らかにし、その方法によりケレリスリンの合成に成功した。[Chem.Pharm.Bull.,44,1634-1636(1996)] 今回、この反応条件を脱離基がOTfである場合に適用してみたが、望む反応は進行しなかった。 そこで、種々反応条件を検討した結果、Pd(OAc)_2-二座配位phosphine ligand-PBu_3から製した新規なパラジウム反応系は、脱離基の種類(ハロゲン、OTf)に関係なく、高収率で目的のカップリング反応が進行することを明らかにした。 現在、本条件を用いて、ケレリスリン型塩基をはじめとするベンゾ[c]フェナンスリジン型塩基の合成を検討中である。 (2)ニチジン型塩基の合成研究 ハロゲン(よう素)を脱離基として用いて、ニチジンの合成法を検討し、その目的を達した。現在、OTfを脱離基とし、我々が見い出した新規パラジウム反応系によるニチジンの合成を検討している。 ベンゾ[d]ナフトピラノン型化合物の合成研究 ベンゾ[c]フェナンスリジン型塩基の合成研究の際に得た知見を、その酸素同族体であるベンゾ[d]ナフトピラノン型化合物の合成研究に応用し、ケレリスリンの酸素同族体であるアルノチンIの合成に成功した。 現在、パラジウムを用いる閉環反応におけるアミドとエステルの反応性の相異について検討中である。
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