研究課題/領域番号 |
09672145
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 和男 広島大学, 医学部, 教授 (00034017)
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研究分担者 |
木島 孝夫 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (80121557)
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キーワード | ベトナム人参 / Panax vietnamensis / オコチロールサポニン / majonoside R2 / 抗発癌プロモーター / Raji細胞 / TPA / フモニシンB1 |
研究概要 |
in vitro法でEBV-EA発現抑制活性の認められたベトナム人参(Panax vietnamensis)のメタノールエキスから得られた粗サポニン分画にはさらに強い活性が濃縮されており、その分画から得られた7種のサポニンのうち、本植物に著しく高含量(4%)で含まれるmajonoside-R2に際立って強い活性が認められた。他の化合物と比較することにより、活性発現に必要な構造因子をオコチロール骨格と決定した。 活性の最も強かったmajonoside-R2をフローサイトメトリー法により細胞周期を分析したところ、本化合物はTPAにより著しく短くなったS期の割合を濃度依存的に有意に増加させることを見出し、この活性発現の機序に細胞周期調節が関与していることを明らかにした。 ついで、in vivo法により、昨年明らかにしたmajonoside-R2についてのDMBAとTPAによるマウス皮膚癌抑制実験に続いて、最近見出されたTPAとは別の機構によるプロモーターのfumonisin B1を用いて同様な実験を行ったところ、11週と20週において、全ての対照群に腫瘍が見られたのに対し、majonoside-R2投与群では腫瘍発現はそれぞれ、30%以下と70%以下となり、著しい腫瘍抑制活性を見出した。 さらに、肝臓癌について検討し、DENとpentobarbitalで発現させた25週後に対照群には80%の腫瘍が認められたのに対して、majonoside-R2を週あたり1.26mgの投与した群では僅かに39%という著効を見出した。 以上のように、このオコチロール型サポニンはかなり広い範囲の抗腫瘍活性を有し、今後の二段階発癌プロモーター抑制による抗癌剤開発のリード化合物として優れたものであることを明らかにした。 この結果を10月にベトナムのハノイで行われた第9回アジア天然物シンポジウム(ASOMPS)で発表した。
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