研究概要 |
発ガン性アリールアミン、ニトロアレン類は細胞内DNAに主として、C8-arylamino-deoxyguanosine付加体を生成される。この付加体の生成機構としてN7-arylamino-deoxyguanosine付加体を経由している可能性が考えられている。N7-deoxyguanosine付加体の化学特性を検討する目的で、一連のbenzimidazole誘導体をdeoxyguanosineのimidazole部位のモデルとして用い、N7-deoxyguanosine付加体と同等の1-methyl-3-phenylaminobenzimidazolium saltを合成し、それらの化学特性を検討した。合成法は、4-置換(CH_3,H,F,CF_3,or NO_2-2-aminobenzanilideにnitrosobenzeneを反応させ、さらに脱保護して2-phenylazoaniline誘導体とし、ついでformic acidを用いて閉環し、5-置換-1-phenylaminobenzimidazoleに導いた。これをCH_3Iと反応させると、選択的にもう一方のNにメチル化が進行し、5-置換-1-methyl-3-phenylaminobenzimidazolium salt(BI)を得た。化合物BIをMeOH/H_2O中加熱すると、置換基が求電子性のDF_3とNO_2の化合物のみが5-置換-1-methyl-2-oxobenzimidazoleを与えた。化合物BIをNaOHによるアルカリ処理を行うと、いずれもイミダゾール環が開裂し、炭素が一つ飛んだ4-置換-N^1-methyl-2-phenylazoanilineを与えた。1-methyl-5-trifluorobenzimidazoleを用いて、N-phenylaminoとN-amino誘導体の反応性を比較したところN-phenylamino体の反応性が高かった。一方7-aminoguanosineと比較すると、これは容易に水と反応し、定量的に8-oxo体を与えた。以上の事から、benzimidazole骨格とグアニン骨格では反応性が大きく異なることがわかった。
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