研究概要 |
本研究は、インドリルボレートの合成中間体としての有用性を明らかとし、その合成化学的展開を行うことを目的とする。この中で、インドリルボレートはクロスカップリング反応において高い活性を示し、この反応は合成手段としても高い有用性を持つことを明らかとしている。そこで、本年度は生物活性を有するインドール化合物の効率的合成法の開発へとその合成化学的展開を行った。(1)インドリルボレートはタンデム型クロスカップリング反応への適用も可能であり、本反応を用いることで種々のインドール誘導体がone-potの反応操作で簡便に合成できる。そこで本反応をキー反応とする抗腫瘍性インドールアルカロイド・エリプチシンならびにその誘導体の効率的合成法を検討した。インドリルボレートからone-pot反応操作によりへキサトリエン構造を有する中間体を合成し、これから数工程を経ることによりエリプチシンの新規合成法の開発を行った。(2)インドリボレートは一酸化炭素気流でクロスカップリング反応を行うと、容易に一酸化炭素挿入反応が進行して種々のインドリルケトンを与える。この反応により得られるケトンから容易にインデノ[2,1-b]インドール骨格が構築できる。この方法論を用いて、抗エストロゲン作用を有するビスインドールアルカロイド・Yuehchukeneの効率的合成法の開発を行った。
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