1.ペプチド鎖の延長、及び、糖鎖の分岐が活性に与える影響を明らかにするために、9種のエリシター活性を有する糖ペプチドのモデル化合物の合成を行った。セリルプロリン誘導体及び、三糖セリルプロリン誘導体を組み合わせてブロック合成を行った。ペブチド縮合反応には、EEDQを、Fmoc基の選択的脱保護にはモルフォリンを、脱t-ブチル化にはトリフルオロ酢酸を、脱アセチル、脱Fmoc、及び脱メチルエステル化を同時に行う場合にはメタノール-水混合溶液中、NaOMeを用いて9種のモデル化合物を得た。これら、モデル化合物について、防御応答におよぼす影響を検討したところ、いずれの化合物も、ハマボウフウのファイトアレキシンであるベルガプテン、エンドウのファイトアレキシンであるピサチンを誘導し、植物種に対して非特異的なエリシターであることが判った。エンドウ細胞壁画分ATPase活性に及ぼす影響は、病原菌由来エリシターほどではなかったが単独でATPase活性を上昇させた。 2.サプレッサー活性を有するsupprescinAの合成はガラクトースから六工程を経て得たイミデ-ト体とL-Ser、Glyから誘導したトリペプチド体を、TMSOTf存在下で縮合し、さらにアジド基を還元後N-アセチル化、脱保護を順次行いsupprescinAを得た。supprescinBはガラクトースブロマイド体を供与体、4位水酸基遊離のテトラベンゾイルガラクトース誘導体を受容体とし、AgOTf存在下で縮合させ、さらに五工程を経てイミデ-ト体とし、L-Ser、Gly、L-Asp、L-Glu、L-Thrから誘導したヘキサペプチド体とTMSOTf存在下で縮合し、アジド基を還元後N-アセチル化、脱保護を順次行い、目的とするsupprescinBを得た。尚、合成品の精製ならびにピサチンの定量のため、備品として購入したHPLCを使用した。
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