研究概要 |
(1) 1(E)-アルケニルホスホネートから不斉ジヒドロキル化(AD反応)によって高エナンチオ選択的にthreo-α,β-ジヒドロキホスホネートを得た(Tetrahedron,54,1998,767-780に掲載)。ラセミ体の1-アシルオキシ-2(E)-アルケニルホスホネートのAD反応では、未反応の(1S)-体と(1R,2R,3S)-トリヒドロキシホスホネートが高エナンチオ選択的に生成した(Tetrahedron,54,1998,781-790に掲載)。(2)不飽和ホスホン酸および不飽和チオホスホン酸のラジカル環化反応によって、相当する2-デオキシリボース-3-ホスホン酸および3-チオホスホン酸誘導体を合成した。次いで、求核剤としてチミジンを用いて分子内グリコシル化反応を検討し、高いβ-選択性で修飾デオキシリボヌクレオチドを合成した。また、チミジンを用いて2-デオキシリボース-3-チオホスホン酸の分子間グリコシル化反応においても高いβ-選択性でグリコシル化が進行することが判明した。(3)ジフルオロメチルホスホネート基を有するシクロプロピルアルカノールをリパーゼ触媒下、速度論的アシル化反応にふし、光学活性なアルコール得た。次いで、6-ヒドロキシプリンあるいはグアニンと縮合し、相当するω-ジフルオロメチルホスホノアルキルプリン誘導体を合成した。同様に、ジフルオロメチル-2-ペンテン-5-オールから二重結合をもつ類縁体を合成した。これら化合物は高いプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)阻害活性を示した。本研究で得た化合物はPNP阻害剤の創製に有用なリ-ド化合物として期待される。(4)ヨードベンゼン誘導体を臭化銅存在下[phosphinyl)difliorometyl]zinc bromideとの縮合反応によって得られる芳香族ジフルオロメチルホスホン酸誘導体のうち、4-スチリル誘導体はプロテインチロジンホスファターゼ(PTP)阻害活性を有することが判明した。芳香族ジフルオロメチルホン酸は非ペプチド性PTP阻害剤の創製に有用なリ-ド化合物として期待できる。
|