研究概要 |
1. リン酸化チロシシの安定類縁体の不斉合成:p位にCH_2PO(OEt)_2あるいはCF_2PO(OEt)_2を有する2-ベンジル-1,3-プロパンジオールおよび相当するジアセテーのリパーゼ触媒下の不斉アシル化反応あるいは不斉加水分解反応によりモノアセテート体を高収率、高エナンチオ選択性で得た。モノアセテートからホスホノメチレンフェニルアラニン(Pmp)およびジフルオロホスホノメチレンフェニルアラニン(F_2Pmp)に誘導した。プロテイン-チロシン-キナーゼ阻害剤の創製に有用なβ-アミノ酸に誘導した(Tetrahedron,54,1998,9341-9356に掲載)。4級炭素をもつジ置換ω-ホスホノマロン酸エステルおよびp位あるいはm位にCH_2PO(OEt)_2を有するベンジルマロン酸エステルをPLE触媒下の不斉加水分解反応によりハーフエステルを得、さらに相当する4級炭素型α-アミノ酸に誘導した。 2. プリンヌクレオチドホスホリラーゼ(PNP)阻害剤の合成:グアニンおよびヒポキサンチンと無機リン酸のミミック部分を二重結合あるいはトランスシクロプロパン環で配座固定したアルキルスペーサーで連結したヌクレオチドアナログ合成した。二重結合の幾何異性体間ではPNP阻害活性に有意の活性は認められなかった。トランスシクロプロパン環で配座固定した誘導体ではPNP阻害活性は上昇した。シクロプロピルメチルカルビノール誘導体から得られたヒポキサンチン誘導体はヒポキサンチン部の配座自由度が制限されることにより、PNP阻害能(IC_<50>)が向上することが明らかとなった(Bloorganic Med.Chem.,6,1998,2495-2505に掲載)。 3. リン酸部修飾ヌクレオチドアナログの合成:D-マンニトールから誘導されたブロモエトキシ共役ホスホナートおよびチオホスホナートのラジカル環化反応によるデオキシリボース-3-リン酸のメチレンホスホナートアナログおよびチオホスホナートアナログを高ジアステレオ選択的に合成法した。分子内および分子間N-グリコシル化反応を検討し高いβD-選択的N-グリコシル化反応を確立した。さらに、ルイス酸存在下チオホスホナートアナログをアリルスズおよびアリルシランと反応させたところ、いずれもβ-選択的にC-グリコシル化反応が進行した(Heterocycles,50,1999.21-25.TetrahedronLett.,39.1998.6299-4302に掲載)。
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