(1)配座固定型グルタミン酸アナログの合成 申請者らは、グルタミン酸受容体のグルタミン酸認識機構と受容体各サブタイプの生理的役割の解明さらに脳機能改善を指向した創薬への展開を目的として、フッ素置換配座固定型グルタミン酸アナログの合成と評価に関する研究を行ってきている。昨年度に光学活性なフッ素置換三級炭素構築法として2-フルオロアクリル酸誘導体の不斉Diels-Alder反応を用いる方法を開発した。本反応の応用として、シクロペンタジエンとの付加体を用いてノルボルナン骨格を有する配座固定型グルタミン酸アナログの合成に成功した。 (2)フッ素置換メチレンシクロプロパン誘導体の合成法の開発と応用 申請者はメチレンジフルオロシクロプロパン誘導体がフッ素の特異的な置換基効果によりシクロプロピルメチルセレノキシドの脱離反応により合成できることを報告しているが、本反応には適用基気質に制約があった。今回より一般性に富んだ方法としてシリル基置換シクロプロピルカルビノール誘導体を用いる反応の開発に成功し、その応用として脂肪酸代謝のうちでベータ酸化酵素阻害活性を有するメチレンシクロプロピルグリシンのフッ素アナログの合成に成功した。
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