研究課題/領域番号 |
09672164
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
太田 明廣 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90057307)
|
研究分担者 |
稲葉 治子 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (40277257)
内山 正彦 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (40277265)
|
キーワード | 合成 / L-セリン / バルジシニン / ピロリジン / 不斉オキシセレン化反応 / furo[2,3-b]furan誘導体 / Olean |
研究概要 |
(1)ピロリジンアルカロイド類の合成法の開発 (2R,3S)-2-Hydroxymethyl-3-hydroxypyrrolidineに続きピロリジン環を有するアルカロイド、バルジシニンの合成を試みた。バルジシニンはβ-ラクタム系抗生物質と共同作用を示すバルジシンの主構成アミノ酸単位であり、3つの不斉中心を有している。まず、私たちは、塩化クロム、塩化タンタルを用いたガーナーアルデヒドのアリル化反応がアンチ選択的に進行することを見出た。合成は容易に入手可能なL-セリンをその不斉を保持するガーナーアルデヒドに導き、これを先に述べた立体選択的反応を用いアリル化することで、他のアキラルな炭素部位に新しい不斉中心を作った。更に、分子内の不斉中心の影響により、3つ目の不斉中心を作り、バルジシニンの持つ3つの不斉中心を有するピロリジン環の構築に成功した。 (2)不斉オキシセレンか反応を利用した天然物の合成 求電子性セレン試剤を用いて、オレフィンに酸素求核剤を位置及び立体選択的に導入出来るオキシセレン化反応は、近年その不斉化が報告され、生理活性天然物のエナンチオ選択的合成に有用であることが示されつつある。しかし、不斉オキシセレン化反応についてこれまでに報告されているのは、いずれも単純なオレフィンを用いた例であり、その適用範囲は限られたものであった。そこで我々は、ビニルエーテル類に対する不斉オキシセレン化反応を検討し、この場合にも本反応が有効であることを明らかにした。また、本反応を用いて、生理活性天然物中に数多く見られる構成単位であるfuro[2,3-b]furan誘導体を光学活性体として得ることに成功した。更に分子内反応を用いて、オリーブの害虫であるBactrocea oleaeのメスが産生する性フェロモンの一種であるスピロアセタール、Oleanの両エナンチオマーの合成にも成功した。
|