研究概要 |
Emericella属菌についてはTLC及びHPLCによる検討をもとに成分の分離を行った。E.hetrothallicaからAspergillus fumigatusに強い抗菌性を示す18,22-cycloergostane骨格を有するステロイド3種を単離し、それらの構造を決定した。このうち2種は新規化合物であり、それぞれemesteroneA、Bと命名した。また、既に分離した以下の化合物については生理活性の検討を行った。E.falconensisから得られた新規azaphilone誘導体9種についてはすべて抗発癌プロモーター作用が観察された。長い共役系を有する新規黄色化合物falconensone Aにはレチノール酸の分化誘導を増強する活性が見出された。今後、Talaromices属菌及びE.purpurea、E.foveolata等の成分分離及び生理活性の検討を行っていく。 医真菌については関連菌も含めて数種を培養し、TLC、HPLC及び抗菌試験による検討をもとに成分の分離を行った。日和見感染による肺真菌症患者から分離されたスエヒロタケからは青〜黄色色素indigotin、indirubin、isatin及びtryptanthrinとともに新規インドール系橙色色素を得て、現在その構造を推定している。さらに、Auxarthron conjugatumより赤色色素2種を単離し、その構造を推定した。これらの生理活性については今後検討していくとともに他の菌の成分検索を続けていく。
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