Emericella属、Talaromyces属菌をはじめとする子嚢菌及び医真菌とその関連菌類について抗真菌活性を中心とした医薬品のリード化合物と新規化合物の検索を行い、概略以下の知見を得た。 E.falconensisから得られた新規還元型アザフィロン誘導体には発癌プロモーター抑制作用が期待され、falconensone Aにはレチノール酸の分化誘導増強活性が見出された。また、E..heterothallicaの新規cyclosterol類はフミガツス症の原因菌Aspergillus fumigatusに対して特異的な抗菌活性を示すことを見出している。E..purpureaからは新規セスタルペン2種と新規インドロジテルペン2種を単離・構造決定した。T.cnvolutusからはアザフィロン類とともに新規tetramic acid誘導体4種を単離し、その構造を確定するとともに、これらがCandida albicans等に抗菌活性を示すことを見出した。 医真菌に関しては関連筋も含めてさらに数十種を培養し、TLC、HPLC及び抗菌試験による検討をもとに成分の分離を行った。深在性病原菌の関連種であるAuxarthron conjugatumより赤色色素2種を単離し、その構造を推定した。さらに、Oidiodendron属菌より得たtetranorditerpenoid誘導体数種の構造を決定し、カンジダ症の原因菌Candida albicansに特異的に強い抗菌活性を示すことを見出した。さらに、肺真菌症患者から分離されたスエヒロタケからindigotinとともに新規インドール系橙色色素を得て、その構造を確定するとともに強い細胞毒性を確認し、スエヒロタケの病原性との関連を示唆した。
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