• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

二級水酸基のラセミ化を完全に防止する新規還元的脱硫法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 09672178
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都薬科大学

研究代表者

西出 喜代治  京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (10237711)

研究分担者 野出 學  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60027076)
キーワードRaney nickel / hypophosphite / reductive desulfurization / thio ether / sulfoxide / optically active alcohol / retention of configuration
研究概要

還元的脱硫反応には通常ラネ-ニッケルが用いられているが、最大の欠点は二級水酸基のラセミ化が起こることである。これはラネ-ニッケルによる還元的脱硫反応を不斉合成に用いる場合に深刻な問題点である。
我々はα,β-不飽和カルボニル化合物の光学活性二級アルコールへの新規不斉還元法として光学活性メルカプトアルコールを用いた高選択的不斉Tandem Michael-MPV反応(J.Am.Chem.Soc.に発表)を開発する過程において、生成物(光学活性3-ヒドロキシチオエーテル類)のアルコールの光学純度を完全に保持できる還元的脱硫反応が必要になり、ラネ-ニッケルの上記の欠点を克服することのできるラネ-ニッケル(W2)-次亜リン酸組合せ反応剤による新規還元的脱硫反応を開発することができた(Tetrahedron Lett.に発表)。
この新規還元的脱硫反応のScope and Limitationsを精査検討し、以下の特徴を有していることを明らかにし本論文としてTetrahedronに発表した。1)本反応剤はアリール基、アラルキル基、アシル基等のイオウラジカルを安定化することのできる置換基を有するチオエーテル、スルホキシドの還元的脱硫反応に使用でき、基質に含まれる光学活性二級アルコールに立体配置を完全に保持することができる。2)反応時間は短時間(30分)で完了し、高収率(75-93%)である。3)本反応剤はスルホン誘導体には反応しない。4)酢酸緩衝液のpHは5.2が最適である。5)本反応剤はベンジルエーテル存在下、アリールあるいはベンジルチオエーテルのみを還元的脱硫することができる。
以上、開発した新規還元的脱硫反応はイオウ原子の特性を活用する不斉合成にとって価値あるものであり、次年度も引き続き研究する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Manabu Node: "Raney Nickel-Sodium Hypophosphite Combination System for Reductive Desulfurization without Racemization of Secondary Alcohol" Tetrahedron. 53・38. 12883-12894 (1997)

  • [文献書誌] Kiyoharu Nishide: "Asymmetric 1,7-Hydride Shift:The Highly Asymmetric Reduction of α,β-Unsaturated Ketones to Secondary Alcohols via a Novel Tandem Michael Addition-MPV Reduction" J.Am.Chem.Soc.118・51. 13103-13104 (1996)

  • [文献書誌] Kiyoharu Nishide: "Reductive Desulfurization Using the Raney Nickel-Sodium Hypophosphite Combination System without Racemization of a Secondary Alcohol" Tetrahedron Lett.37・13. 2271-2274 (1996)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi