研究課題/領域番号 |
09672180
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
佐藤 利夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70075943)
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研究分担者 |
西木 まゆみ 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (40140610)
宮高 透喜 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (50157658)
松本 仁 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (30109730)
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キーワード | 抗ストレス潰瘍 / ウレアーゼ阻害 / アレンカルボン酸誘導体 / ヘリコバクター・ピロリ |
研究概要 |
研究者らは、プロトンポンプ酵素(H^+,K^+-ATPasc)及びH.pyloriウレアーゼがともにSH酵素である点に着目し、これら両酵素を強力にかつ不可逆的に阻害することが推測される四置換アレンカルボン酸誘導体をデザイン合成し、その抗潰瘍作用とウレアーゼ阻害活性を検討してきた。 本アレン誘導体は、その反応性から考えてあらゆるSH化合物と容易に反応するものと推定し、血中に吸収された後では、グルタチオンなどの生体内SH化合物と反応して不活性体になるものと予測していた。しかしながら、前述のアレン誘導体の生体内動態を調べてみたところ、多量の未変化体の存在が確認された。そこで、ウレアーゼやプロトンポンプ酵素のSH基をとりまく環境を調べてみたところ、アロマティックなSH基に近い酸性度(pKa)を示すことが考えられた。これに対しシステインやグルタチオンのSH基はpKa7以上である。そこでチオフェノール及びシステインを用いてアレン誘導体と反応させるモデル実験を試みた。その結果、チオフェノールのみが反応し生成物が得られた。このことは、アレン誘導体を医薬品として投与した場合、システィンやグルタチオンと反応せず、生体内の各所に存在する目的の酵素類のみと反応する可能性が示唆された。 また、実際に酵素阻害実験を行ったところ、SH酵素であるウレアーゼやカテプシンを濃度依存的に阻害することがわかった。 以上のことより、アレン誘導体は新しいタイプの医薬品のリード化合物となり得るものと考えられた。
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