研究概要 |
今年度は2-アリルシクロヘキサノン,2-イソプロピルシクロヘキサノン,2-メチル-4-t-プチルシク口ヘキサノン,2-エチル-4-t-ブチルシクロヘキサノンに対して(S)-(-)-フェニルエチルアミンを作用させ得られたイミンをアクリル酸メチルと反応させた.加水分解の後,カラムクロマトによって精製し,3置換体については2種のケトエステルを得た.これらはt-ブチル基とメチル基あるいはエチル基がcisおよびtransとなった異性体であり,相対配置は600MHz NMRにより行った.CDスペクトルから2位の絶対配置はいずれも(S)と決定した.4-t-ブチル基によって立体配座が固定されていると考えられるため,CDスペクトルは予想される符号を示した.これにより2-メチルシクロヘキサノン誘導体のCDスペクトルはその立体配座に起因するものと結論づけられた. 次に2,3-ジメチルシクロヘキサノンの場合について同様の反応を行った.ラセミ体では収率が極めて悪く(26%),次に(3R)-2,3-ジメチルシクロヘキサノンを用いると収率は59%と向上し,ee,deともに99.5%以上となった.しかし,(3R)-2,3-ジメチルシクロヘキサノンに対して(R)-(+)-フェニルエチルアミンを用いるとミスマッチングにより反応はほとんど進行しなかった.これは新しい発見であり合成反応に利用可能であると考えられる.以上,2,3-2置換の場合と,2,4-2置換の場合についての選択性は全く異なっていた.CONFLEXを用い,MM2の計算を行いそれぞれの最安定配座を計算したが,スペクトルとの相関は今後の課題である.
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