研究概要 |
1.大麦のアリューロン細胞のジベレリン受容体が細胞膜上に在ることを明確に証明する為、既に合成した蛍光標識ジベレリン(FLGA)に勝るα-アミラーゼ誘導活性を有するFLGAの合成研究を行った。即ち、これまでの構造活性相関研究により活性及び化学的安定性がGA_4より優れていることが明かとなった合成ジベレリン18-deoxyGA_1を受容体認識部位とし、化学的安定性に優れたピレン環を蛍光標識部位とするFLGA_1-1の合成を検討した。本年度はFLGA_1-1の合成には至らなかったものの、先に確立したジベレリン酸(GA_3)より18-deoxy-17-hydroxy-16,17-dihydroGA_1(A)への変換法を改良し、より効率的なものとした。更に、(A)の17位水酸基を足掛かりとしたスペーサー及び蛍光標識部位導入法の予備実験としてアルキル化を検討し、種々のエーテル誘導体を合成した。現在、α-アミラーゼ誘導活性試験を行い、これらの化合物が18-deoxyGA_1と同程度の活性を再現するかどうかを確認中である。又、受容体認識部位の化学的安定性を増す目的で、GA_1の3位及び13位水酸基のエーテル体を合成、その活性を検定中である。 2.1の(A)より光アフィニティー標識GAを合成する目的で、光反応基部位であるトリフルオロメチルアリールジアジリン(TFMADA)誘導体の合成を完了した。又、最近、受容体蛋白質同定の為のスクリーニング法として低分子プローブを遺伝子的な手法に組み入れたthree hybrid systemが提唱されたが、本手法をジベレリン受容体同定に応用する目的でGA-dexamethasone hybrid ligandの合成研究を行った。現在まで、dexamethasone部の合成を完了し、17-hydroxy-GAとの縮合を検討中である。
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