研究概要 |
今回採択された研究の目的は,新たに軟体動物アフリカマイマイの体壁に見出されたグリコサミノグリカンの生理活性を探索することである.本年度は主に研究の対象となる糖鎖,タンパク質の精製,同定を目的とする.具体的には以下の手順によって研究を遂行している.1.アフィニティーカラムの作成 アフリカマイマイよりグリコサミノグリカンを大量に単離精製する.それを化学的に脱アセチル化した糖鎖,さらに再硫酸化した糖鎖を調製する.核磁気共鳴装置を用いて,修飾した各糖鎖の構造を確認する.これらを用いてヘパリンセファロースカラムの調整法に準じてアフィニティーカラムを作成し,ヒト血清,ウシ血清を用いてこれらのカラムに親和性を有するタンパク質,ペプチドを分画する(発表準備中).2.分画したタンパク質のアミノ酸配列をアミノ酸シークエンサーによって調べ,その一次構造からタンパク質・ペプチドの同定を行い,溶液中におけるコンホメーション解析をNMR装置を用いて行う(発表準備中).3.アフリカマイマイから単離したグリコサミノグリカン,化学修飾したグリコサミノグリカンを酵素的及び亜硝酸分解法によって部分分解し,カラムクロマトグラフィーによって二糖から十四等のオリゴ糖に分画する(Glycobiology,印刷中). 以上の研究に関連して,本年度9報の学術論文,2報の総説を発表した.
|