研究概要 |
今回終了する研究の目的は,新たに軟体動物アフリカマイマイの体壁に見出されたグリコサミノグリカンの生理活性を探索することである.昨年度は主に研究の対象となる糖鎖,タンパク質の精製,同定を目的とした.今年度は実際に細胞培養系における生理活性を測定した.具体的には以下の手順によって研究を遂行した.1.アカラン硫酸およびその化学的誘導体の調製 アフリカマイマイよりグリコサミノグリカンを大量に単離精製した.それを化学的に脱アセチル化した糖鎖,さらに再硫酸化した糖鎖を調製した.核磁気共鳴装置を用いて,修飾した各糖鎖の構造を確認した.これらを,線維芽細胞培養系に単離し,その増殖に対する効果をみた(Glycobiologyに発表).2.塩基性線維芽細胞増殖因子と何らかの相互作用をもつことが確認された(Biochemical and Biophysical Research Communicationに発表).3.アフリカマイマイから単離したグリコサミノグリカン,化学修飾したグリコサミノグリカンを分解する酵素をヒト小腸内容物由来バクテリアより単離同定した. (Canadian Journal of Bacteriologyに発表). 以上の研究に関連して,本年度7報の学術論文,1報の総説を発表した.
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