葉酸代謝拮抗薬(抗ガン剤)であるmothotrexatc(MTX)はR体とS体の光学対掌体からなる。光学対掌薬物は物理化学的性質が同一にもかかわらず体内動態が大きく異なる場合がありMTXを光学対掌薬物のモデルとして選んだ。門脈血-体循環血濃度差法をMTX光学異性体に応用して小腸と肝臓による初回通過効果(first-pess effect)を分離評価した。動脈内投与した場合は門脈内濃度と動脈内濃度に差はみられなかった。CLはL体で25nl/min/nigでD体は32nl/min/kgとD体の方が有意に大きかった。またMRTはD体で0.5hr、D体で0.2hrでD体の消失が大きいことがわかった。経口投与ではL体は小腸から吸収されたがD体は吸収されなかった。局所モーメント解析によりL体は小腸から薬17%が門脈へ吸収され、その平均吸収時間が2hr程度、肝通過率が50%であることがわかった。肝潅流実験ではL体の通過率が70%D体の通過率が70%で肝消失には差はみられなかったin vivoで通過率が50%であることより肝潅流実験で肝活性が低下していることがわかった。
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