研究概要 |
NOのHPLC-蛍光定量法の開発を検討した.まず,NOと2,3-ジアミノナフタレン(DAN)との反応性を検討するため,標準品を合成し,物理定数の測定を行った.DANのMeOH溶液に10mMトリス塩酸(pH6)を加え,これにNOガスを45minパ-ジさせ,生じた不溶物をろ去後,ろ液を濃縮して蛍光誘導体を得た.MeOHから再結晶して,mp185°Cの黄色結晶を得た.元素分析の測定結果は理論値と良く一致し,MS,NMRの結果は予想した構造(2,3-ナフトトリアゾール)を十分に支持するものであった.この2,3-ナワトトリアゾールは亜硝酸イオンとDANの反応で生じることが知られているが,NOとの直接反応で合成されたのは初めての例である.NOの発生剤であるSNAPを用いて,生じたNOをDANと反応させた場合,そのHPLCピークは標準品のピークと一致した(溶離液=50%MeOH,t_R=ca.12min).そこで,SNAPを用いる場合の反応条件を検討し,最適条件下でNOの検量線を作成した結果,1-100pmol/inj.の範囲で良好な直線関係となった(r=0.996).次に,NOのトラップ剤と考えられるヘモグロビン,ミオグロビン,オキシヘモグロビンを共存させた場合のNOの測定を試みた結果,オキシヘモグロビンとミオグロビンはNOを確実にトラップすることが分かった.ヘモグロビンでは約10分後に一定のトラップ効果(約90%)となり,メトヘモグロビンでは約30分後に30%程度のトラップ効果を示した.したがって,本反応系を用いれば,NOのトラップ効果が測定可能であることが分かった.
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