ガン転移巣画像化のための^<99m>T_CTCイメージング薬剤開発には、以下の2つのアプローチが考えられる。 1) ガン原発巣の細胞膜抗原やもしくは過剰発現したレセプター、血管新生に不可欠な因子に対し高い親和性を示す抗体、ペプチドに^<99m>T_Cを安定な錯体の形で導入した、いわゆる^<99m>T_C標識化合物を製造する方法。 2) ^<99m>T_C錯体のもつ特性を基礎として^<99m>T_C放射性医薬品を構築する方法。 ^<99m>T_Cイメージング薬剤は、本質的には、^<99m>T_Cを配位結合によって包含するため、生体内における金属及び配位子との平衡関係の変化が、体内挙動に影響を与えることはさけられない。従って、これまでの^<99m>T_Cイメージング薬剤の開発戦略は、主に(1)の方向から進められており、有機化合物同様の体内動態を期待し、体内での錯体の分解を抑えるため、安定度定数の大きい錯体の形成を目標として、多くの研究が進められてきたが、いまだ臨床の場で実用可能な方法は確率されるに至っていない。一方、(2)の方法は系統的な研究は進められていないが、生体内で生じる平衡系の動的変化を、錯体の体内動態制御に積極的に利用するという、^<99m>T_Cイメージング薬剤独特のアプローチという点で魅力的なものである。 我々は、この双方向からのガン転移巣画像化にアプローチするために合目的な2撞の配位子に着目した。(1)の目的には、99mTcに対し高い結合安定性を示すヒドロキサムアミド化合物。(2)の目的には、やや結合安定性が劣るヒドロキサム酸化合物である。この2橦の化合物は、構造的には類似しているが、配位原子が異なっており、当初の予想通り、得られる^<99m>T_C錯体は大きく異なる特性を示すことがあきらかになった。
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